はじめての散歩 in セブシティー (3)


着いたのはごく普通の一軒家。といっても車を2台置くスペースがある二階建ての家なので、それなりにお金を持っているのだということが分かります。
中に入るとまず食事を用意してくれました。メニューはご飯といわしっぽい魚の干物とシシグ。
シシグというのは刻んだ肉の炒め物でフィリピンでは一般的なおかずです。
同じ物を他の人たちも食べていたので、大丈夫かと思い僕も食べました。おいしかったです。

ご飯を食べていると、五人目の登場人物が現れました。
高級そうなポロシャツにチノパンというシックな装いをした、30代後半のダンディーなおじさん。
ウォーターフロントホテルのカジノでマネジャーをしているそうです。

……はい、やっぱりアウトでした。きっと大丈夫だと信じていたのですが。
前は別のホテルでも働いていたとか、次遊びに来たらカジノのVIPルームに連れていってやるとか(今すぐ連れて行けよ!)、いろいろ話してくれたのですが、
「カジノで勝つには正しい知識が必要だ。何も知らずに行くのはバカがやることだ。よかったら今から勝ち方を伝授してやろうか」
と、今からカード遊びをしようとのお誘いがあり。
ここで誘いを受けてしまうと逃げられなくなると思ったので、断ることにしました。

201506211
どうやって?
「私は仏教徒で、信仰上ギャンブルをすることは禁じられているからできない」
と言って。
それでも「練習するだけなら大丈夫だろう」など執拗に誘ってきたのですが、それも許されないと言ってつっぱねました。
内心はひやひやしていたのですが、怯むと押し切られそうだったので虚勢を張りながら。

すると、なんとか諦めてくれたのか、車に乗せられました。
そして車の中で、女のうちの一人が
「今から妹に会いに行こう」
「妹に会うにはプレゼントを買う必要がある。そこの店で甘いケーキを買おう」
「私はヨランダ(2013年にフィリピンを襲った台風)の募金を集めているのだが協力してくれないか」
「私は外国の貨幣を集めているんだ。会った記念に日本の紙幣をくれないか」
などあらゆる名目を使って私からお金をせびろうとしてきたのです。
まだ捕らわれの身でもありましたし、昼食をご馳走になったことでもあるので、寄付金として100ペソだけあげました。
100ペソを相手が受け取ると、車が急に止められ、私は無理やり下ろされてしまい、車はそのまま走り去っていきました。

自分がどこにいるかも分からなかったのですが、しばらく歩いているとSMモールの近くにいることが分かったので、そこからタクシーで自分の家に無事帰り着きました。

 

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そうして、セブ島に着いてから最初の週末は終わったのです。
多少は危なかっただろうけれども、モールの近くまで送ってくれたし、昼食も振舞ってくれたし、そんなに悪い人たちでもなさそうだったので、珍しい経験ができて良かった、と家に帰ってきてすぐは思っていました。

しかし、後から聞いた話ですが、トランプ賭博で巻き上げられるだけでなく、そういう輩に薬で眠らされたり、暴力を振るわれた上でカードを家まで取りに行かせられたりといった事件も起きているようで。
それを聞いて、私はただ運がよかっただけなのだと、後からゾッとする思いをしてしまいました。

結論:知らない人にはついて行かない。

あつし